瞼のシャッター

幼稚園の頃、俺は自分の見ている光景が、まばたきするごとに写真になって、神様に届いているんだと勝手に思い込んでいた。
だから、神様にあまり無駄な風景を送らないように、まばたきを我慢したりしたっけ。
今考えてみると、とても素敵な空想だと思う。

素敵なシーンに出会えたなら、沢山まばたきをして、そのシーンを瞳に焼き付けよう。
そして神様に沢山みせてあげよう。きっと喜んでくれるに違いない。

瞼のシャッターはどんな高級カメラよりも高性能なのさ。


生音ドレッシング

シェイク シェイク
ギターの弦が規則的に反復するように

サラダにさらっとかけよう
小気味いいリズムが、回る、回る

君の瞳がまるでミラーボールのようにキラキラする
さあフォークをとって ペロリと頂こう

さわやか 生音ドレッシング
定価315円!YEAH!

キューピーから新発売。


「あなたと私」

着替えを探して今ここにいる
冷め切らないうちに召し上がれ
固まった唾を飲み込む
私とあなた
過去形のあなた
着替えは見つからない

静かに目を開けて
初めまして、こんにちは
たぶん普段からずっと好きでした
静かに静かに目を閉じた
裂け目に落ちた視界の中で
見つけた
しがない私
共に生きる私
いた、いた
着替えはまだ見つからない

共に生きよう
あなたと私


「花模様」

夢心地
花模様を描きながらため息をつく
目に映るのは煙模様
遠い地にいる君を眺める
甘い影を落とす夕日
白い白い煙模様
笑い声と共に落ちていく
ぐるぐる螺旋を描くように

煙模様は花模様に
綿埃が舞う夜空
君の笑顔はどこ
つまり夕日が暮れたから
甘い影を落とす夕日が消えたから
消えてしまった消えてしまった
はかない街

夢心地
常に夢心地
目に映るのは煙模様
遠い地にいる君を眺める
笑い声が聴きたくて耳を澄ます
聴こえるのは花模様
叫んでも消えない花模様
僕はここにいたんだ
確かにここに。