ノートアプリの適切なビジネスモデルを探る

Inkdropを正式リリースしてからちょうど1ヶ月が経った。
成果としては、正直言ってイマイチだ。プライベートβがHacker Newsでバズっただけに、想像してたのとは違う状況なのが実際のところ。マネタイズはやっぱり簡単では無い。しかしながらとても沢山の意見をもらえた。これは大きな収穫だと思う。
振り返ってみて、これからの戦略を検討する。

過去の関連記事はこちら:

tl;dr

  • ユーザはいつまでも自分のノートにアクセスできることを重視している
  • 継続課金はユーザをロック・インさせる
  • 会社向けならロック・イン問題は起こりにくい
  • 個人向けと会社向けの2つのエディションに分ける
  • Slackのとっちらかり問題を解決できる?

財布の硬さの問題ではない

ユーザからの意見をみてみると、購入に至らない主要な理由は「値段が高いから使わない」という単純なものではないという事が見えてきた。
例えば:

  • For me as a dev all i’d really care about is that I have access to my personal notes
  • I’d prefer it used a third-party sync like Dropbox or iCloud. I trust them more.
  • My problem with all these types of apps is: What happens when the app goes away?

要するに、個人用途においてメモは長期的に使うから、いつでもアクセスできることが重要なのだ。たとえサービスが終了しても。そこをとても懸念している。
個人がやってるサービスに永続性なんて期待できない。もっともな意見だ。

継続課金はユーザをロック・インさせる

利用を検討するとき、当然ユーザは「ずっと使うだろうか?」と自問する。
でも将来のことなんて分からない。もし途中で使うのをやめたら、と考えた時、継続課金は大きな足かせになる。
アプリは要らなくてもノートは自分の資産であって易々と捨てられないからだ。エクスポート機能があればいいという問題ではない。データの移行なんてダルくて考えたくもないだろう。すなわち一度使い始めたら抜けられない、ロック・イン(幽閉)である。

It would be a good idea to add a cancel subscription option to the website, without that it becomes hard to users to trust and creates the impression of being locked in to something they might discover is not for them

つまり、継続課金では「全く要らない」と「頻繁に使う」の中間層に対応できないのだ。もしEvernoteのようにフリーミアムであれば、低頻度ユーザにも対応できるだろう。

しかしながら、上記引用のようにアカウントのサスペンド機能を設けるのはビジネス継続性から見て解決案になっていない。そしてフリーミアムにするのも論外だ。
じゃあどうするのかという話は後述する。

会社向けならロック・イン問題は起こりにくい

  • Seems like since this project is directed toward companies or enterprise there should be separate pricing for companies
  • If my company were looking for a note taking app then sure, which is why alot of products save features like cloud sync & share for enterprise.

上記指摘を受けて会社用途を考えた時、個人用途と会社用途を比べてみると面白い違いがあることに気づいた。
それはノートの「必要期間」だ。
個人的なノートはいつまでも取っておきたいが、会社のプロジェクトのノートはそのプロジェクトが終わるまで、と明確に寿命がある。経験的にも、終わった過去のプロジェクトのノートはほぼ見返さない。

だから、チーム用途においてロック・インはあまり問題にならない。
これが、esa.ioなどのチーム向け類似サービスが月額制でも受け入れられている一つの要因だと思う。

個人向けと会社向けの2つのエディションに分ける

これまでの議論をまとめると、

  • 個人ユーザはノートを保存するためにアプリに永続性を求めている
  • 現状の継続課金モデルではごく少数のヘビーユーザしか使ってもらえない
  • チーム用途ではノートの必要期間が有限なので継続課金しやすい

つまり、これらはアプリのクオリティが高ければ解決する問題では無い。となると、ビジネスモデルを少し見直す必要がある。
これらの知見を鑑みて自分の考えうる次の一手は:

  1. 個人向けに買い切り形式のバージョンを提供
  2. 会社向けにチーム共有機能がついたバージョンを提供

つまり、個人向けには継続課金ではなく買い切りでロック・イン問題を回避する。同期はDropboxなどのファイルベースのクラウド経由。
会社向けには、現行と同じ価格の継続課金モデルで、チームでの情報共有機能を提供する。
もちろん、今使ってくれているユーザはそのまま継続して使える。俺みたいにDropbox同期が嫌だったり、今後追加される独自機能を使いたい人向け。

あと現行ユーザはまだ全員試用期間中なので、上記バージョンがリリースできるまで試用期間を延長する。もちろん、移行ガイドも出す。

Slackのとっちらかり問題を解決できる?

チーム向けノートアプリを考えた時、Inkdropならどんな問題が解決できるだろうと考えてみた。
チャットアプリのSlackはとてもカジュアルにチームと会話できる分、いろんな話題が混ざってとっちらかる。
大事な会話は適宜esa.ioに保存したり運用でカバーしている人も多いだろう。
話題別にスレッドを立てればいいかもしれないが、JIRAとかGitHubでissue立てるのはちょっと改まりすぎて立てづらい。もっと、ふんわり話題を振りつつ、履歴を自然に整理したい。

そこでノートにコメント機能を付けて、「みんなの活動フィード」みたいな画面を設ければ、やんわりと話題をみんなに通知できるし、そこでわいわいチャット的にコメントを付けて、いつの間にか立派なドキュメントになってましたっていう感じ。よくない?

ユーザヒヤリングもしてみよう。
あと、ユーザフォーラムをInkdrop上で運営するとかいいかもしれない。「やんわり」「カジュアル」な雰囲気を作るいい実験台になる。
このアイデアって日本人的な発想だろうか?笑

まだまだ伸び代がある

こういう失敗は実際に経験してみないと実感がわかない。とても貴重な体験だ。

早くマネタイズしたいと焦る気持ちもあるが、別に明日生活費が尽きる訳でもないし。
お金に困ったら受託すればいいし。

自分を見失って台無しにだけはしないようにしたい。

長くなってしまった。以上、アプリの進捗報告でした。


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